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Epic Games Japan 篠山さんに聞く「地方でのデジタルコンテンツの可能性」

「地方でのデジタルコンテンツの可能性」

▼プロフィール
Epic Games Japan カスタマーサクセスディレクター
篠山 範明(しのやま のりあき)さん  39歳 東京都出身

講演会「第2回 ODEN ビジネスワークショップ」が株式会社オーイーシー(大分県大分市)で開催された。

「Unreal Engineを中心としたEpicのツール群連携2025」と題し、ゲーム制作だけでなく映像や3DCGでのUnreal Engineの活用方法をEpic Games Japan社の篠山範明さんが講演し、講演会後半では体験型ワークショップを実演。来場者は最新技術を体験し、盛り上がりを見せた。

世界最大級のゲームの一つであるフォートナイト。同ゲームを運営するEpic Games Japanでカスタマーサクセスディレクターを務めている篠山さんに、地方でのデジタルコンテンツはどのような可能性があるかについて講演終了後に話を伺った。

カスタマーサクセスディレクターとは

Unreal EngineやEpic Gamesのツールを使っていただく方への技術的な支援をするチームで、メインの業務はお問い合わせいただいた質問に答えることです。その他にも、学生や様々な方に使っていただきたいので、いろいろな場所に出向いてお話をさせていただくこともあります

なぜこの仕事に?

数学が好きで数学的なことを考える仕事がしたい、成果物はエンターテイメントで楽しんでもらうことがしたいという思いがありました。当時はコンピューターグラフィックスが新しくて、その両方を叶えられると思いこの道に進みました。

Unreal Engineを地方でうまく活用している事例について

ゲーム制作のツールがメインですが、放送、映像、建築など様々な業界がグラフィック表現を必要としています。

Unreal Engineを学び始めてから半年でバーチャルライブを実現した北海道のアーティストや、オフシーズンでもVRを使ってホタルイカと触れ合える擬似体験ブースを制作した富山県のクリエイターなど、地方からUnreal Engineを使った新しい活用法が増えています。現地に行かないと実写を撮影することができなかったものがバーチャルな空間で表現できたり、地域の課題解決に取り組んでデジタル技術を活用するなど、Unreal Engineの可能性は広がっています。バーチャルの世界なので地方とかはあまり関係ないと思います。

また、教育現場でも活かせると思っています。小、中学校での活用も増えていて、単にテキストや計算で教えるよりも、仮想空間で見た方が興味が湧く。子どもたちが実際に動かして、こんなこともできるんだって新しい視点に気づいてくれるんです。

簡単に言いましたけど、正直作るのは難しいんですけどね(笑)

どうお金に変えていくか

アセットを売るというのはこれから目指していく未来です。自分で売ってクリエイターになっていただく。

ただ、あくまでもUnreal Engineは手段なので、使わなくても完結するのであれば使わなくていいと思います。

AI技術も発展してきてイメージは作れるけど、Unreal Engineの場合は、ある程度正確に現実に近いものを物理シミュレーションをすることができます。例えば大きな街を作るときに、バーチャル3D空間上に実際に配置してみてシミュレーションができるので、営業に行く際にプロモーションツールとしても活用できます。ゲーム産業以外でも活用方法はあると思います。

これからUnreal Engineを始めたいと思っている方へ

最初の最初は「ゲームメーカーズ」というサイトがおすすめです。インストールからちょっとしたゲーム作りまでを1時間でやってみようというチュートリアルがあります。どのアプリケーションでも一番難しいのはインストール。その後が起動。一番初めにハードルが高いので、その課題を解決してくれます。ゲーム制作が目標ではない人や、今までこういったツールを使ったことがない人でもエディターに慣れることが出来るので、最初に見るサイトとしてはすごくいいと思います。

小さな一歩を踏み出して、慣れてきたら自分のやりたいことや、仕事に活かせることを決めて自分で調べてみる。今は検索すればたくさんのWEB記事が出てくるので、チュートリアルを参考に興味のあることを突き詰めていけばいいと思います。

また、大きな作品になると一人で全てを制作するのだけでなく、アーティストがいたり、ロジックを組む人がいたり、みんなで一つのものを作ることになります。万能な個人が一人で作り切れるものではないので、自分は何がやりたいのか、何が出来るのかを考えながら学習をしていくといいと思います。

Unreal Engineはゲーム制作などのアウトプット専用の道具ではなくなってきています。どうしても形にしようと考えてしまいますが、もっと気軽に自分だけの箱庭を手に入れたという感覚で良いと思います。遊びながら自由な発想でツールを使っていけば、やりたいことにどう活用できるかって考えるきっかけになると思います。

趣味や最近ハマっていること

ばってん少女隊を追いかけて、よく九州を訪れたりしたんですけど、東京に進出したので嬉しいですね(笑)大分県のことを歌っていたり、いい曲がいっぱいあるので是非聴いてみてください。

篠山様、今回は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

Unreal EngineやEpicツールがすでに様々な業界で活用されていることがわかり、そして今後は更に加速していくように感じました。 今回ご紹介いただいた技術は、作業の効率化や自社商品のデジタルコンテンツ転用などによって、県内企業でも十分に活用できる可能性があるのではないでしょうか。

ODENではこういったデジタルコンテンツに関する議論(気軽な交流かもですが)を、県内企業・教育機関・クリエイターと連携してもっと進めていきたいと思っています。 ご意見、ご感想もお待ちしております。