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大分のデジタルコンテンツの未来を目指すヒト対談

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大分のデジタルコンテンツの未来を目指すヒト対談

〜モンドリアン角田拓志さん × 宇都宮 藤くん〜

角田拓志・かくだ たくじさん(大分県日出町豊岡小出身)
1988年9月14日生(37歳)
株式会社モンドリアン=東京都代表取締役

宇都宮藤さん・うつのみや ふじさん(大分県日出町豊岡小6年)
2023,2024年 TechKids Grand Prix九州沖縄選抜
同プログラミング大会に向け、別府タワーをUEFNで制作中

デジタルコンテンツ産業の第一線で活躍中の角田拓志さんによる講演会が、8月18日に株式会社オーイーシー本社(大分県大分市)で開催された。

講演会では、大勢の大人に混じり、小学生の宇都宮藤さんが目を輝かせて話を聞いていた。参加受付の際に、角田さんへの想いを込めたメールが運営サイドに届き、対談が実現。

宇都宮さんは2023,2024年TechKids Grand Prix九州沖縄代表に選ばれるなど、ゲーム制作の分野で実績を重ね、意欲的にプログラミングを学んでいる。

メタバースなどのデジタル技術を使って、さまざまな都市の地域振興を企画してきた角田さんの存在は、プログラミング教室内でも有名。同じ出身地ということもあり、強い憧れを持って話を伺った。

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藤さん
プログラミングの大会で別府タワーを使ったゲームを作っています。今はUnreal Engineを使っています。新しいプログラミング言語が出るかもって話を聞いて、その言語を覚えやすいのか、覚えられるのだろうか、難しければ他のゲームエンジンにしたほうがいいのか悩んでいます。

角田さん
まず素晴らしい質問だなと思うのが、プログラミング言語を選ぶ際に、習得にどれくらい時間がかかるかという視点。よくあるのが、将来的に使えるかどうかという視点で言語を選ぶ人がいるんですけど、これから先もっと優秀な言語が出てくる。

それを踏まえ、一番大事なのは夢中になれるかどうかだと思っています。

学んだり、作ったりする時に夢中になってできることが一番学習コストが低い。同じ学習時間でも、好きではないけどなんか良さそうな言語を学ぶ10時間より、好きな言語を学ぶ10時間の方がめっちゃ効率が良いなと思っています。

まずはたくさんの言語を試してみて、一番興味を持てるものを学習していくのが、今の段階ではいいと思います。

もう一つ大事なのは結局何をつくりたいかということ。

FORTNITEの中で作りたいからVerseを使う、RobloxだったらLua言語を使う、オリジナルのアプリケーションを作りたいんだったらこれらの言語を使うなど。作りたいことに合わせて言語を選ぶことが必要になってきます。

藤さん
作りたいゲームによって合った言語があるし、それを自分が色々試してみて、覚えやすいとか、こういう表現ができるからこの言語を使うといったように、自分に合った夢中になれるものを選ぶのが大事ってことですね。

角田さん
全部言ってくれた(笑)。
まとめてくれてありがとうございます。

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藤さん
角田さんが小学校の時のエピソードや人生のターニングポイントを教えてください。

角田さん
小さい頃、小学校の先生だった父に言われたことを強烈に覚えています。

「小学4年生、10歳でだいたいの考え方が固まる。大人になってもあなたの特性はそこから変わらない。何十年も子どもを見てきたからわかる」

私は学校の中で一番頭が良いわけでも、一番走るのが速かったわけでもなかったんですよね。

結構おちゃらけてるタイプというか、周りから面白いと言われることが好きだったんです。その特性が変わらないのであれば、勉強や運動で一番になることなどの誰かと比べたりする事じゃなくて、クリエイティブな方面で生きたほうが楽しいなと。自身についての考え方を知るきっかけになりました。

今だからちゃんと言葉にして伝えられるけど、小学生の時はあまりわかっていなかったです。中学の時なんて野球部に入ったりして、クリエイティブって言っておきながらやってることは超普通じゃんって(笑)。その上、めちゃくちゃ野球下手なのに、部員120人のキャプテンに選ばれたんです。普段からみんなとコミュニケーションを取ったり、リーダーシップを発揮していたから投票で決まったんだけど、頭も良くないし、足も早くない、ボールも遠くに投げられないのに気づいたらキャプテンになっていた。自身の特性に対して、「なんか違う」という違和感を感じていました。

父の言葉をずっと引きずっていて、いろんな出来事がある度に「なんか違うな」という経験を繰りした先に、自分はこういう生き方がいいんだと理解できるようになりました。

今思えば、父からの言葉がターニングポイントだったと思います。

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藤さん
起業について全くわかっていないんですけど、ゲームが作りたくて起業する場合、ゲーム会社に就職して経験を積んだ方がいいのでしょうか?

角田さん
大学を卒業して上京し、最初に就職したのが、起業家候補を採用するというテーマの会社に入社しました。同僚との飲み会で「いやー起業したいねー」「起業したいかー!エイエイオー!」とかみんなで言っていたんですよ(笑)。東京とかそういう人いっぱいいるんです。私もその一員だったんです。でも気づいたんです。

本当に起業したかったら、もう起業してるよなと。

実際、私が経営者になる時は起業したいなーとか考えていたわけではないんです。やりたいことがあって、そのためにどうしようかって話になって、じゃあもう起業ですねって話になりました。やりたいことが会社員でできたら起業していなかったと思います。

藤さん
例えば僕が⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎みたいなゲームを作りたいって思ったら、その⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎を作ってる会社に入ればいいってことですか?

角田さん
そうそう。自分の作りたいゲームがあるならその会社に入ればいいし、もし他に作りたいゲームがあって別の方法を探さなきゃいけない場合、違う会社でも作れないなら、自分で起業するしかないって話になる。起業は手段であって目的になってはいけないと思っています。

あとゲーム会社に入った方がいいか、そのまま起業した方がいいかという点で一つ補足が。先ほど話をした手段と目的のこともあるんですけど、ゲーム会社に入って本当によかったなと思うことがあります。それは、バケモンみたいにゲームが好きな人に出会えることです。この人たちには勝てないなと思えるぐらいゲームに夢中になっている、ゲームが好きな人にたくさん出会えるんです。その経験があったからこそ、今経営している会社の社員たちにも、そこまで上がっていってほしいし、私自身もまだ頑張れるぞと思えます。

日本はゲーム大国だし、ゲーム会社で出会うプロデューサーっていうのは本当にバケモノみたいな人たちです。考えるのも上手いし、四六時中ゲームのことばっかり。

そんな人たちと出会ってきたからこそ、私はゲームの力を信じられる。もっと面白いゲームを作ろうって思える。ゲーム会社に入ってバケモノたちと一緒に仕事をすることで、もっとゲームに本気になれて自分に厳しくなれます。

ゲーム作りをする上では恵まれた環境にいるなと感じていました。

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ーー対談の感想とこれからについて教えてください

藤さん
僕はゲームが好きだから好きなことで生きていくのが憧れです。好きだから得意になったプログラミングを学ぶことで楽しく生きていけそうだなって思えます。

今回は自分の経験していない話を知れてよかったです。
憧れの角田さんの印象は・・・言葉にならない。ちょっと考えます…!

ーーこれからチャレンジする人へ向けてのメッセージを

角田さん
デジタルコンテンツ業界へチャレンジするのは段階があると思うんですけど、自分の持っているアセットやリソースは、意外に他の人が持っていなかったりする。自分の持っている強みでチャレンジすればいいと思います。

もう一つは、いざ一歩踏み出してゲーム会社に就職するって考えた時に、会社内には人事や経理もあるし、私のようなマーケティング担当もいる。その中でもSNS担当やPR担当もいる。広く受け入れてくれる土壌があります。エンジニアだけでなく、自分の強みを活かしてエンターテイメントコンテンツに関わることは、あらゆる方法で可能です。視野を広くするのが大事だと思います。

藤さん
あっ、言葉が湧いた!角田さんはいろんなことを経験してて、知らないことを教えてくれる頼もしい人生の先輩です!

角田さん
同じ小学校出身だしね!
あと、エンターテイメントの先輩としても頑張りますっ!(笑)